フェラーリでもいかが? EV時代の今だからこそ。

自動車を巡る動向
EV化が進む自動車業界ですが、最近はEVの販売不振(ハイブリッドカーの台頭)という類の話題や若い人の自動車離れ(ステータスだとは思わない)等があり、「クルマ」を所有する事を幼少から夢見 、「クルマ」を語る事が「身だしなみ」の時代に生きてきた世代から見れば、最近の自動車業界の動向・各メーカーのニューモデル・コンテンツ等を見るにつけ、ワクワクしなくなったなぁといった声も聞こえてきそうです。
EV化推進の背景にあるのはご存じの通り「地球環境」を考慮しての事ですが、そういった課題にばかり力を入れた結果、自動車を今のような音や振動の無いエレベーター的でつるんとした特徴の無いデザインにしたのではないでしょうか。まぁ、ボヤキはこの辺にして、2024年現在の主要自動車メーカーの動向を見てみましょう。
テスラ:引き続きEV市場のリーダーであり、特に新車種「サイバートラック」の量産に注力しています。しかし 利益率の低下や競争の激化に直面しており、中国のBYDなどが強力なライバルとなっています。
トヨタ:ハイブリッドカーの販売を強化しつつ、EVのラインナップも拡充しています。特にプラグインハイブリッド車(PHV)に注力し、消費者の多様なニーズに応えています。
フォード:EVとハイブリッドカーの両方に力を入れています。特にハイブリッド車の販売を伸ばしつつ、EVの充電インフラの整備にも積極的に取り組んでいます。
GM:完全電動車のラインナップを目指し、EVの開発に注力しています。またテスラと提携し充電プラグのアダプターを標準装備するなど充電インフラの整備にも力を入れています。
ステランティス:プラグインハイブリッド車(PHV)に注力しつつ、EVのラインナップも拡充しています。また他の主要メーカーと協力して、EVチャージネットワークの構築を進めています。
セレブと車
話は変わりますが、セレブと車というのは密接な関係があり、彼らの所有する車が何なのかは常に注目の的です。何故ならオーディエンスは彼らの所有する車を見て、どの程度ビリオネアなのか、どの程度センスが良いのかを測る傾向があるからです。当然ながら世間の視線を集める人たちとしては「最新のイケてるモデル」を所有したがる傾向があるようですが。
著名人の車
2024年現在の著名人の愛車を見てみましょう。
※セレブが所有する車は1台では無いことに留意してください。
テスラ サイバートラック:キム・カーダシアン、ジェイ・レノ、レディー・ガガ、 ファレル・ウィリアムズ、ジェイ・Z & ビヨンセ、ケイティ・ペリー、カニエ・ウエスト、シアラ、ジャスティン・ビーバー、J バルヴィン、バッド・バニー、セリーナ・ウィリアムズ(テニスプレイヤー)、シェイ・ギルジアス・アレクサンダー(NBA選手)
キム・カーダシアンが親友トレイシー・ロムルスにサイバートラックを誕生日サプライズプレゼント!
フェラーリ:ブラッド・ピット(458 イタリア)、トム・クルーズ(ラ・フェラーリ)、レオナルド・ディカプリオ(カリフォルニア)、ジャスティン・ビーバー( 458 イタリア)、ドレイク( ラ・フェラーリ)、ジェイ・Z( 488 GTB)、クリスティアーノ・ロナウド( F12 ベルリネッタ)、フロイド・メイウェザー(フェラーリ エンツォ)、キム・カーダシアン( 458 イタリア)
ランボルギーニ:ブラッド・ピット(アヴェンタドール)、トム・クルーズ(ウラカン)、レオナルド・ディカプリオ(ウルス)、ジャスティン・ビーバー(ウラカン)、カニエ・ウエスト(アヴェンタドール)、ドレイク(ウルス)、クリスティアーノ・ロナウド( アヴェンタドール)、フロイド・メイウェザー(ウラカン)
ポルシェ:ジェリー・サインフェルド(911 コレクション)、パトリック・デンプシー(911 GT3 RS)、ジェイ・レノ(カレラ GT)、ジャスティン・ビーバー(911 ターボ)、アダム・レヴィーン(356 スピードスター)、ビヨンセ(カイエン)、デビッド・ベッカム(911 ターボ)、クリスティアーノ・ロナウド(911 カレラ)、ジェフ・ベゾス(タイカン)
参考
2024年現在 米国の富裕層の所有する車のメーカーシェア メルセデス・ベンツ: 30%、BMW: 25%、アウディ: 15%、ポルシェ: 10%(※1.)、 テスラ: 8%、レクサス: 6%、シボレー: 3%、フォード: 2%、フェラーリ: 1%、ランボルギーニ: 1%、その他: 1% ※SUVやセダン約70% 、スポーツカー約30%
※2024年現在 米国の富裕層の所有するスポーツカーのメーカーシェア シボレー・コルベット: 約58%(※2.)、ポルシェ: 約20%、フォード・マスタング: 約10%、テスラ: 約7%、その他: 約5%
※1. ポルシェはスポーツカーだけでなく、SUVやセダンも多く販売しており車全体のシェアが高くなります。 ※2. 米国の富裕層がスポーツカーを選ぶ際はシボレー・コルベットを選ぶ割合が非常に高いです。
映画と車
映画と車の関係は非常に深く 多くの映画が車を重要な要素として取り入れています。 車はしばしばキャラクターの個性やステータスを象徴するために使用されます。 車はストーリーテリングの重要なツールとしても機能します。 カーチェイスやレースシーンは映画の緊張感や興奮を高めるために使われます。 車はそのデザインやスピード感で視覚的な魅力を提供します。 美しい車が登場するシーンは映画のビジュアルを魅力的にする役割を果たします。
映画に登場する富裕層が乗るスポーツカーのメーカーシェア
1位 アストンマーティン: 約30%、2位 フェラーリ: 約25%、3位 ランボルギーニ: 約20%、4位ポルシェ: 約15%
※アストンマーティンがほぼ「007シリーズ」で登場する事を考慮するとフェラーリが最も映画に頻繁に登場してると言えそうです。 「富の象徴」として。
フェラーリが映画に頻繁に登場する理由
フェラーリは「富の象徴」であり、映画の中でステータスや成功を表現するために使われます。 フェラーリには歴史があり、ストーリーに深みやリアリティを加えます。 フェラーリの車は美しいデザインとエンジン音で観客に強いインパクトを与えます。 フェラーリを運転する人物は自信と冒険心があるという擦込みによって、個性を強調可能です。
何故「富の象徴」がフェラーリであって、ランボルギーニやポルシェではないのか?
フェラーリのモータースポーツでの歴史はブランドの価値を無二の物としてます。フェラーリは生産台数が限られておりこの希少性が所有すること自体をステータスにしています。 エンツォ・フェラーリの哲学に基づいたデザインとパフォーマンスは一線を画しています。 ランボルギーニやポルシェも高級車ブランドとして非常に人気がありますが、モータースポーツでの歴史的な成功が少ないため、「富の象徴」としてのイメージがやや異なります。
近年フェラーリの歴史:歴代モデルと映画
フェラーリと映画の歴史を、代表的なモデルと共に1980年から時系列で振り返ってみましょう。
1980年代
288 GTO (1984-1987): フェラーリ初のターボチャージャー付きモデル F40 (1987-1992): フェラーリ40周年記念モデルでツインターボV8エンジンを搭載
Testarossa (1984-1996): ミッドシップのフラット12エンジンを搭載のモデル
映画: ビバリーヒルズ・コップ II (1987) - エディ・マーフィ主演のアクションコメディでフェラーリ328 GTSが登場。
※エンツォ・フェラーリ亡くなる (1988)
1990年代
F50 (1995-1997): F1技術を取り入れたモデル 456 GT (1992-2003): ラグジュアリー2+2クーペ
※ミハエル・シューマッハがフェラーリに加入しF1チームの復活を牽引 (1996)
※フェラーリがF1コンストラクターズチャンピオンシップを獲得 (1999)
360 Modena (1999-2005): ミッドシップのV8エンジンを搭載したモデル
512 TR(1991-1994): Testarossaの進化版で改良されたエンジンとシャーシが特徴 456 GT (1992-1997): フロントエンジンのV12を搭載した4シーターのグランドツアラー
映画: セント・オブ・ウーマン/夢の香り (1992) - アル・パチーノ主演のドラマでフェラーリ・モンディアルが登場。
2000年代
※ミハエル・シューマッハがフェラーリに21年ぶりのF1ドライバーズチャンピオンシップをもたらす (2000)
Ferrari Enzo (2002-2004): フェラーリの技術の粋を集めたスーパーカーでV12エンジンを搭載 575M Maranello (2002-2006): フロントエンジンのV12を搭載したグランドツアラー
映画: バッドボーイズ II (2003) - ウィル・スミスとマーティン・ローレンス主演のアクション映画でフェラーリ575M Maranello が登場
※フェラーリがF1でコンストラクターズとドライバーズのダブルタイトルを獲得 (2004)
F430 (2004-2009): F1技術を取り入れたモデル 599 GTB Fiorano (2006-2012) : フェラーリのフラッグシップV12モデル California (2008-2017) : フロントエンジンのV8を搭載 クーペとコンバーチブルの両方のスタイルを持つグランドツアラー 458 Italia (2009-2015): フェラーリの自然吸気V8エンジンを搭載
2010年代
LaFerrari (2013-2016): フェラーリ初のハイブリッドハイパーカー
※セバスチャン・ベッテルがフェラーリに加入し F1チームの新たな時代を築く (2015)
488 GTB (2015-2019): 458 Italiaの後継モデルでターボチャージャー付きV8エンジンを搭載
※フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から独立 (2016)
812 Superfast(2017-2022): フェラーリの史上最強(※1.)とされる自然吸気V12エンジンを搭載 SF90 Stradale (2019-): フェラーリ初のプラグインハイブリッド車で最大出力1,000馬力を誇る
映画: フォードvsフェラーリ (2019) - 1966年のル・マン24時間耐久レースでフォードがフェラーリに挑む実話を描いた映画。 フォード v フェラーリ |20世紀スタジオ (20thcenturystudios.com)
2020年代
Roma (2020-): ミッドフロントエンジン2+クーペで洗練されたプロポーションを持つ 296 GTB (2021-): フェラーリ初のV6ハイブリッドエンジンを搭載 Purosangue (2022-): フェラーリ初のSUVでV12エンジンを搭載 12 Cilindri(2024-): 830馬力の6.5リッターV12エンジンを搭載した最新モデル
映画: フェラーリ (2023) - エンツォ・フェラーリの人生とフェラーリ社の歴史を描いた伝記映画。 https://ferrari-movie.jp/?ref=jp.mmth2.com 映画『フェラーリ』公式サイト|7月5日(金)全国公開 (ferrari-movie.jp)
F80(2024-): ハイブリッドシステムを搭載し、合計1200馬力を発揮するスーパーカー
12 Cilindri Spider(2025-): 12 Cilindriのオープントップのバージョンで、6.5リッターV12エンジンを搭載
296 Speciale(2025-): ハイブリッドシステムを搭載した高性能モデル
Ferrari's First Electric Model(2025発売予定): 電動ドライブトレインを搭載、詳細は不明
※1. 812 Competizione は 812 Superfastに比して、わずかにパワフルなエンジン (819 馬力対 800 馬力) とより高い回転数制限 (9,500 rpm 対 8,500 rpm)² を備えている。 ※モデル名に付く数字はエンジンの排気量や気筒数を示す (フェラーリ 812: 800馬力の12気筒エンジン)。
EV渦中のフェラーリ
フェラーリはEV化が進む現代においてもそのブランド価値を維持し進化を続けています。フェラーリは2025年に初のEVモデルを発表する予定です。 2026年までにラインナップの60%をPHVおよびEVにし、2030年までにはEVの比率を40%PHVを40%内燃エンジン車を20%にする計画を立てています。近年はテスラ等のEVメーカーが高級車市場での存在感を増しており、環境意識の高まりと共に消費者の価値観も変化しています。このような中でもフェラーリは堅調な販売実績を維持しており、2022年には世界販売台数が前年比23%増の6706台となり、純利益は過去最高を記録、ブランドの強さを示しています。
余談:EVのスポーツ競技が成長中。 「フォーミュラE」: 電動フォーミュラカーによるレースで、世界中の都市で開催されています。

EV化の今だからこそフェラーリから学べること
EV化が進む今、自動車メーカーは差別化と競争力の維持が大きな課題です。この点で「古き良きフェラーリ」から学ぶことがあります。フェラーリはエンツォの時代からブランド価値を非常に重視しました。エンツォは「最高のエンジン カロッツェリアデザイン 職人が手掛けたスポーツカー」にこだわりました。そして、フェラーリは顧客体験を重視しました。新車をオーダーすると生産途中の写真が送られてきたり、オーナーだけがフェラーリ本社工場を見学できるサービスが提供されたりしました。テスラはその革新的なアプローチで多くの成功を収めていますが、 このフェラーリのブランド価値の維持や顧客体験の重視等の視点は、EV市場でさらに競争力を高めるヒントとなるでしょう。
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