キルマー・アブレゴ・ガルシア氏が帰国:直面する法廷の行方

キルマー・アブレゴ・ガルシア氏が帰国:直面する法廷の行方
Portrait of AG Pam Bondi and Kilmer Abrego Garcia

トランプ政権によってエルサルバドルへ強制送還されていたキルマー・アブレゴ・ガルシア氏が先週、テネシー州で不法移民の輸送と共謀罪で起訴された事を受け、米国に帰国しました。このニュースの第一報はABCニュースが報じています。

検察によると、アブレゴ・ガルシア氏は2022年にテネシー州で交通違反を理由に停車させられた際、不法移民を含む9人の男性をSUVに乗せて運転していたとされています。乗車していた男性たちは全員身分証明書を所持しておらず、この状況がさらなる調査を引き起こしました。その結果、彼は不法移民の輸送と共謀の2つの重罪に関与したとして起訴されました。これらの容疑は同州ナッシュビルの連邦大陪審によって秘密裏に審査され、6月6日(金)に起訴状が公表されました。

ナッシュビル連邦大陪審の検察官はアブレゴ・ガルシア氏が終身刑に近い処罰を受ける可能性があり、人身売買や児童虐待の容疑がある事、MS-13ギャングのメンバーである事を示唆しています。パム・ボンディ司法長官は記者会見でアブレゴ・ガルシア氏の本業は板金工ではなく、不法移民の密輸だったと主張しました。アブレゴ・ガルシア氏の弁護団はこれを虚偽として否定しています。

アブレゴ・ガルシア氏の強制送還を非難し続けてきたクリス・ヴァン・ホーレン上院議員(メリーランド州、民主党)は今回の帰国措置に関して連邦政府の対応を歓迎しつつも、アブレゴ・ガルシア氏が今後法的な手続きにおいて正当に扱われるべきであり、彼の弁護団が法廷で彼の擁護をしっかりと主張すべきであると述べています。また、彼の妻ジェニファー・バスケス・スーラさんは彼の潔白を主張し続けています。

今回の連邦政府による帰国措置はアブレゴ・ガルシア氏が合法的な法的手続きを受けられるようにするための一環として行われましたが、彼の帰国で連邦政府と最高裁の対立やメディア報道で国民の分断が過熱気味だったトランプ政権の移民政策を巡る論争が少しは落ち着くのではないかとの見方もあります。また、彼がギャングのメンバーだったのかどうかについては、今後法廷で明らかにされることになりそうです。この事案は今後、移民政策の課題や司法制度の信頼性にも関連し、幅広い議論につながる可能性があります。