クリスティ・ノーム長官は現地視察と制服姿を好みます

クリスティ・ノーム長官は現地視察と制服姿を好みます
Portrait of Kristi Noem

ノーム長官、移民政策を断固として推進

国土安全保障省(DHS)長官に就任したクリスティ・ノーム氏は移民政策に関する強硬な姿勢で全米の注目を集めています。ノーム長官は不法移民に対する大規模な取締りを実施し、国内外での広告キャンペーンを通じて不法移民に対する警告を発表しました。

FBIを批判

ノーム長官はFBIが内部文書をメディアに漏洩し、カリフォルニア州の大規模な不法移民取締り計画がリークされた事を受けて、FBIは「腐敗している」と非難、情報漏洩に関与したエージェントを起訴すると発表しました。このリークによって、ロサンゼルスで不法移民取締りに反対する数千人規模のデモが勃発、高速道路が封鎖され、大渋滞が起こりました。また、デモ中に17歳の少年が刃物で刺される事件も発生しました。

不法移民取締りキャンペーン

ノーム長官は大規模な不法移民取締りの広告キャンペーンを展開しており、テレビ、ラジオ、デジタルメディアを使って不法移民に直接メッセージを投げかけています。ノーム長官は広告の中で「アメリカの国境は法を破る者には閉ざされている。不法移民は自主的に出国すれば、アメリカンドリームを追い求めるチャンスがあるかもしれないが、我々が探し出し追放する事になれば、その機会は失われる」と警告しています。

ベネズエラ移民の保護措置の撤廃

ノーム長官は35万人のベネズエラ移民の一時的な保護を終了する決定を下しました。これにより多くのベネズエラ移民が国外追放の危機に直面しています。ベネズエラ人コミュニティは強い反発を示しており、多くの人々が抗議デモを行いました。また、政府効率化局(DOGE)の報告で、連邦緊急事態管理庁(FEMA)がレイケン・ライリーさんを殺害したベネズエラ出身の犯人をニューヨークの高級ホテルに収容するために5,900万ドルを費やしていたことが発覚したのを受けて、その資金の全額を回収したと発表しました。ノーム長官はFEMAがベネズエラの国際テロ組織の資金源となっていると指摘し、FEMAを廃止する意向を示しました。

ノーム長官、制服姿で指揮を執る

ノーム長官は、現場を重視しています。彼女は国境警備や不法移民の取締りに関する現地視察や同行を行い、現場の職員と直接対話することで、迅速かつ効果的な意思決定を行っています。

防弾装備を身に着け、深夜のニューヨークをパトロール

1月28日ノーム長官は防弾装備を身に着け、移民関税執行局(ICE)、連邦保安官局、ニューヨーク市警らで構成されたチームと共にニューヨーク市での夜間パトロールを行いました。このICEによる「悪党を追い出すため」のパトロールは早朝に及び、不法移民で犯罪者と目される複数の容疑者らが拘留されました。ノーム長官は彼らは国外追放されるだろうと語りました。

馬に乗って、南西部国境周辺をパトロール

2月2-3日ノーム長官はテキサス州デルリオを訪問し南西部国境を視察、国境警備隊の騎馬部隊と共に馬にまたがり国境周辺のパトロールを行った後、前長官のマヨルカス氏を激しく批判しました。

カーボーイハットを被り、グアンタナモ収容施設を語る

2月2日ノーム長官はNBC「ミート・ザ・プレス」にカーボーイハットを被って生出演し、約3万人の不法移民の収容施設とされるキューバのグアンタナモ湾海軍基地における人権について「送還の手続は適正に行われます。無期限の拘留は計画していません」と明言しました。後日2月8日彼女はグアンタナモ湾海軍基地を訪問し現地視察を行いました。

参考:

プロフィール

クリスティ・ノーム氏は1971年サウスダコタ州ウォータータウン生まれ。サウスダコタ州立大学で学位取得後、共和党議員として合衆国下院議員、サウスダコタ州知事を経て、現在はアメリカ合衆国国土安全保障長官を務めています。ノーム氏は農場経営者、牧場主、小規模ビジネスのオーナーでもあります。

2007-2011:サウスダコタ州下院議員
2011-2019:サウスダコタ州全州選挙区のアメリカ合衆国下院議員
2019-2025:サウスダコタ州知事(州初の女性知事)

ノーム氏の政策は基本的に保守的であり「小さな政府」「低税率」「個人の自由尊重」を強調しています。サウスダコタ州知事であったノーム氏はパンデミックの時、個人の自由を尊重する立場から、ロックダウン実施やマスク着用の義務化をせず個人の判断に委ねる政策を展開し一躍有名になりました。

トランプ大統領の支持者

ノーム氏は熱烈なトランピアンとして知られています。2020年の独立記念日にサウスダコタ州知事だったノーム氏はトランプ氏をラシュモア山での花火イベントに招待し、歴代米大統領の顔にトランプ氏の顔を追加したラシュモア山の模型を贈呈しましたが、以降このイベントはバイデン政権による妨害を受けました。

キャビネット入り

2024年11月12日、トランプ大統領はノーム氏を国土安全保障長官に選出、2025年1月25日に上院で承認されました。ノーム氏のキャビネット入りはトランプ政権の移民政策を強化するための戦略的選択だと言われています。

過去の論争

飼犬の安楽死

ノーム氏は彼女の著書『No Going Back』の中で、農場で飼っていた犬クリケットを射殺したことを明らかにしました。ノーム氏はクリケットが訓練不可能であり、接触する相手を危険にさらす存在であったため、射殺したと主張していますが、これは全米で大きな論争を呼んでおり、動物愛護団体や一部市民から強い批判を受けました。また、この出来事は政敵が彼女を攻撃する際の格好の材料となっています。

国境への州兵の派遣

ノーム氏はサウスダコタ州知事として、テキサス州の国境警備活動を支援するために州兵を派遣しました。彼女はこれまでに3回、サウスダコタ州兵をテキサス州に派遣しており、国境警備の強化に努めています。彼女はバイデン政権が不法移民に対して寛容な政策を取っており、アメリカの安全を脅かしていると批判しました。

中国への強鞭な姿勢

ノーム氏は、以前から中国に対して強い警戒感を示しており、中国企業による米国の農地買収を批判したり、国家安全保障上の理由から、トランプ大統領が擁護している中国企業バイトダンスのTikTok使用禁止令を出しました。

ニッキー・ヘイリー氏との確執

ノーム氏は、過去にニッキー・ヘイリー氏から電話でプライバシーの公開や家族への危害といった脅迫を受けたと主張していますが、真偽は明らかになっていません。この主張の影響で、逆にヘイリー氏がシークレットサービスに警護を要請したり、ノーム氏の主張は証拠が不十分だとの批判も相次ぎました。