シドニー・スウィーニーのジーンズ広告は魅力的ですが、リベラル派はそれをナチスと呼んでいます

シドニー・スウィーニーの広告が政治論争に
シドニー・スウィーニー(※1)が出演したアメリカン・イーグルジーンズの広告キャンペーン「Sydney Sweeney Has Great Jeans」は、言葉遊びと社会的背景により異常な過熱を見せました。この件は、単なる広告宣伝の枠を越えて、アメリカの政治的分断を映し出した現象として注目されました。
論争の流れ
2025年7月23日
キャンペーンが正式発表。「ジーンズ(Jeans)」と「遺伝子(Genes)」を掛けたキャッチコピーが言葉遊びの巧妙さをアピールする一方、白人至上主義や優生思想を連想させるという批判がソーシャルメディアで高まりました。
2025年8月1日
アメリカン・イーグルがインスタグラムで「このキャンペーンはジーンズそのものを称えるものであり、誰もが自分らしく着こなせることを応援するものだ」と釈明しました。
HOLY SH*T 🚨 Shoutout to American Eagle for not wasting time and defending Sydney Sweeney ❤️
— MAGA Voice (@MAGAVoice) August 1, 2025
American Eagle deserves a million “Thank You’s for not allowing the WOKE Mob try and “cancel” her
I LOVE HER “GREAT JEANS” 🔥 pic.twitter.com/O7rGwVp4O2
2025年8月4日
トランプ大統領がスウィーニーが共和党員として登録されていたとの報道を受け、この広告キャンペーンを「今一番ホットな広告」「このジーンズは飛ぶように売れている」と称賛しました。これを受けて、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ社(※2)の株価はその日24%上昇し、2000年以来の最高値を記録しました。
Donald J. Trump Truth Social 08.04.25 10:19 AM EST pic.twitter.com/RQwhALqrvK
— Fan Donald J. Trump Posts From Truth Social (@TrumpDailyPosts) August 4, 2025
American Eagle stock is up 20% after President Trump praised Sydney Sweeney’s ad. 🔥 pic.twitter.com/434I9ibaH6
— Tiffany Fong (@TiffanyFong_) August 4, 2025
背景と対立の構造
保守派の支持
トランプ大統領やバンス副大統領ら保守派の政府高官が支持を表明、また保守メディアは、この広告を「リベラルのインクルージョン広告」と比較し、消費者に受け入れられる「従来型広告の成功例」として擁護しました。
リベラル派の批判
白人優越思想を暗黙に支持するとの懸念が広がり、特にスウィーニーの金髪・青い目が強調された点に対して「多様性欠如」との批判が巻き起こりました。
なぜ、政治論争がここまで加熱するのか
これはいわゆるアメリカにおける文化戦争ですが、保守派は今回のキャンペーンを大いに支持しています。ソーシャルメディアではスウィーニーのアメリカ人的な魅力についての様々なエピソードが拡散しました。日本人の私たちから見て、ごく普通のファッションブランドの広告がここまでの論争を引き起こすのは、前政権下での企業広告がリベラルに寄りすぎたためのある種「揺り戻し」現象なのかも知れません。
注釈
※1 シドニー・スウィーニー(Sydney Bernice Sweeney)
1997年ワシントン州スポケーン生まれの女優。12歳で地元映画のオーディションに合格。家族とロサンゼルスへ移り、テレビドラマのゲスト出演からキャリアを開始。代表作に、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、「IMMACULATE 聖なる胎動」、「マダム・ウェブ」。ドラマ「ユーフォリア」、「ホワイト・ロータス」、「ハンドメイズ・テイル」。受賞歴としては、2022年のMTVムービー&TVアワードにおいて、ドラマ「ユーフォリア」で最優秀バトル賞を受賞。
※2 アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ社(American Eagle Outfitters)
設立:1977年
本社:アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ
従業員数:約40,000人
店舗数:全世界で1,182店舗(2024年2月時点)
年間売上高:約52.61億ドル
純資産:17.36億ドル
「アメリカン・イーグル」と「Aerie」の2つの主要なブランドを展開し、衣類、アクセサリー、靴、化粧品など幅広い商品を販売しています。特にZ世代をターゲットにしたトレンド感とリーズナブルな価格を組み合わせた商品展開が高く評価されています。また、「Aerie」ブランドでは、モデル写真の修正を廃止するなどの革新的な取り組みを行っており、自然体を尊重する広告展開が評価されています。北米市場のみならず、アジアや中東にも進出しており、世界規模のブランドに成長しています。
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